2017年度

2017年4月21日勉強内容 万葉集に親しむ『明日香へ行こう』

4月は、万葉の原点である明日香村の紹介と村にある万葉歌碑の勉強でした。
明日香の万葉歌碑MAPを参考に①石舞台古墳(蘇我馬子の墓と言われている)、②飛鳥寺(蘇我氏の氏寺、飛鳥大仏)の万葉歌碑―佐々木信綱の歌碑;山部赤人の長歌(明日香春秋)③大官大寺、川原寺(跡)、橘寺―明日香4大寺、④槻ノ木広場(645年の乙巳の変いっしのへんの立役者の中臣鎌足が盟主とあおぐ中大兄皇子と初めて知り合った場所)―蘇我入鹿の首塚もある、⑤犬養万葉記念館(万葉歌碑 山吹の歌 高市皇子の晩歌:犬養孝揮毫『山吹の 立ちよそひたる 山清水 汲みに行かめど 道の知らなく』)、⑤キトラ古墳(高市皇子の墓?)⑥雷丘(いかずちのおか)宮廷賛歌の和歌の話でした。
参考情報;昭和30年に、3村(阪合村、高市村、飛鳥村)が統合し明日香村になりました。新しい村名の明日香村の名付け親が犬養孝先生でした。
下に犬養先生揮毫の明日香の万葉歌碑MAP(犬養万葉記念館発行)があります。 

2017年5月19日勉強内容(万葉集に親しむ『母の日に寄せて』)

5月は、くろんど緑地のかたがごの花、ラクウショウ(落羽松)の話からスタートし、越前 味真野の35周年万葉まつりに招かれた事の紹介がありました。
(その時のコンサートの様子は、万葉うたがたり会YouTubeのページを参照ください)
5月の歌(ちさ)と 『あふちの花』の紹介。
母の日にちなみ、まず子供は宝の歌【山上憶良:銀(しろがね)も 金(くがね)も玉も 何せむに 優れる宝 子にしかめやも】と、父母を思い歌った防人の5首『父母草;おやこぐさと読みます:万葉うたがたり会YouTubeのページにあります』の紹介。防人の歌は84首(巻20)有ります。又、万葉集には母の歌は88首ですが、父の歌は、たった1首のみです(通い婚の影響)。
次にあざさの花の長歌(奈良県三宅町の花)と徳島県眉山にちなんだ映画(さだまさし原作)から作った短歌6首『母の歌』の紹介がありました。
最後に万葉集についての説明がありました(万葉集は万葉仮名で書かれているので、解釈等で最近も研究されている古いけれども、新しい等)。
 万葉仮名で書かれた大和歌(短歌・長歌)の歌集
 一番短い万葉仮名の歌;10文字です。
【歌】(万葉仮名)
 春楊(はるやなぎ)
 葛山(かづらきやまに)
 発雲(たつくもの)
 立座(たちてもゐても)
 妹思(いもをしそおもふ)
  巻11・2453  作者は柿本人麻呂(かきのもとひとまろ)歌集より
最後に山上憶良と防人の歌を犬養節で学級全員で朗誦しました。
(ここををクリックしてください;朗唱が聞けます)
☆少し勉強した事
1.崎守(新羅・唐に備えて岬を守る)→防人に変化
2.とうとうみ(遠江)大井川と浜名湖の間⇔おうみ(近江)琵琶湖地方

2017年6月16日勉強内容 万葉集に親しむ『ジューンブライド♡』

6月は、六月の花嫁(ジューンブライド)の話です。
先ずは六月の花(はちす=蓮)の戯れ歌の紹介16-3835※がありました。次に嫁いでいく娘に送る父の歌『娘に』4-532・1-22・9-1791や、犬養孝先生が結婚式で披露された『祝婚歌』13-3314・3317について学びました。この祝婚歌は、夫が長い道を歩いて宮使い行っているのに、他の主人は馬で行っている。私(妻)は母の形見を売り馬を買いたいと歌うが(まるで山内一豊の妻・千代)、夫は私だけが馬に乗る訳にはいかない、2人で石は踏むとも一緒に行こうと歌う夫婦の純愛の問答歌です。結婚式のお祝いにピッタリです。同じ巻13の問答歌で『あざさの花』13-3295・3296の紹介がありました。この歌は三宅(=屯倉からきた)町の花になっています。(あざさ=学名はあさざ)
※16-3835は万葉集の巻16-3835の意味です。又『』は万葉うたがたりの歌名です。
☆少し勉強した事
 巻16の特徴:ユニークな巻でナンセンスソング、土用の丑の歌等が多く含まれています。
 巻13の特徴:長歌+反歌で構成されています。
 母のまくら言葉:たらちね=垂乳根と子を産んだ特徴を枕詞にしている。
   例(たらちねの母が形見と…)

2017年7月21日勉強内容 万葉集に親しむ‐『夜空のファンタジー』

7月は、七夕に因んで交野が原の歌碑マップの紹介から始まりました。
交野と枚方に流れる天の川を中心に歌碑が点在している。別ページの天の川流域歌碑マップ を参照ください(ここをクリックすると、マップにジャンプします)。『逢合橋』の歌に載せて3首の和歌説明(逢合橋の歌碑の歌と大友家持の百人一首‐かささぎの わたせる橋に おく霜の しろきをみれば 夜ぞふけにける‐の話があり、かささぎは中国ではキューピットの役割があるとの事)と『夏の夜の夢』では月人壮人(つきひとおとこ;月の中に居て桂の樹を伐るといふ想像の男)という造語が含まれている和歌等が、万葉人が素晴らしい感性で天空を歌ったかを感じさせてくれました。また、七夕は旧暦では立秋以降の行事という事を理解して万葉歌を読む必要がある事がわかりました。
7月の歌は、やまゆりです。巻20-4369は東北の訛りで書かれている(さ百合=さゆる)恋の歌ですが、同じ防人(千文)が歌った次の歌、巻20‐4370は太平洋戦争時には万葉集で良く歌われた勇壮な歌です。『あられ降り 鹿島の神を 祈りつつ 皇御軍卒(すめらみくさ)に 我は来にしを』-しかし、この勇ましい歌の前には、恋しい妻を歌った和歌『筑波嶺の さ百合の花の 夜床(ゆどこ)にも かなしき妹そ 昼もかなしけ』が歌われています。
『ムーンライトセレナーデ』では、月の光に寄せた万葉人の4首の歌の紹介、湯原王の和歌4首では、月を思う万葉歌が紹介されました。(万葉集では、160首ほど月が歌われています)
 
紹介事項;川原寺 写経が始まった寺(日本書記)-この7月から写経体験が出来ます。http://asukamura.com/?page_id=10133
この天智天皇の母、斉明天皇の為に建てられた寺です。豪雨災害があった朝倉が斉明天皇がなくなれた場所で7月に亡くなられたという。
少し勉強した事:あられ降り=かしましい(=けたたましい)から鹿島の枕詞となっている。

2017年10月20日勉強内容 万葉集に親しむ-『秋の夜長…』

今月は、9月22日の郊外学習(明日香の彼岸花と万葉歌碑巡り)のオサライと秋の花についてのお話です。最初は山上憶良の秋の七草の歌の紹介でした。万葉集では、萩が141首も歌われ人気の花でした。七草は萩、尾花(ススキ、稲等)、葛、撫子、女郎花、藤袴、朝貌(アサガオ‐桔梗)です。この歌は旋頭歌(5、7、7の句の繰り返し)です。この歌の万葉がなで書かれている原文です。
山上臣憶良詠秋野花歌二首
 秋野尓 咲有花乎 指折 可伎數者 七種花【其一】
 芽之花 乎花葛花 瞿麦之花 姫部志 又藤袴 朝貌之花「其二」
郊外学習で満開の彼岸花は、万葉集では『いちひの花』と呼ばれ一首のみ歌われています‐道の辺の いちひの花の いちしろく 人皆知りぬ 我が恋妻は‐。
郊外学習で訪れた飛鳥寺の万葉歌碑(佐々木信綱揮毫)は、『明日香春秋』で歌われている山部赤人の長歌です。山部赤人の歌は、対句で構成されており、芸術院会員のような完成された歌が多い。『フルフル雪』も、大原神社の歌碑で天武天皇と妻の藤原夫人の雪をめぐる戯れあい歌です。『宮廷讃歌』は、飛鳥坐神社の歌碑で大君を神と讃えた歌です。『明日香風』は、甘樫丘の犬養孝揮毫万葉歌碑1号で志貴皇子の歌です。最後に今月末から行われる正倉院展の紹介がありました。フジバカマも 掲示板 に載せています

2017年11月17日 万葉うたがたりコンサート『万葉の秋を歌う』

交野が原万葉学級の例会として、万葉の古代衣裳を纏った岡本先生と上 未歩(交野が原万葉学級の仲間)さん、園田知子さんによるライブ講座で生歌を堪能しました。築百年の古民家で素敵な雰囲気と素晴らしい音響のムーザサロン オーナーの片山ふえさんと、美味しいお菓子を提供いただいた阿部さんには、大変おせわになり、感謝申し上げます。
『   』をクリックすると曲が聞けます。
1)最初の歌は、『秋の歌メドレー』(唱歌と先月学級で勉強した山上憶良の秋の七草の歌) 
2)秋バージョンの『花ごよみ』
3)山部赤人の明日香讃歌 『明日香春秋』
4)額田王の春と秋どちらが良いかを歌います。
  『春秋競憐歌(春秋シャンソン)』
5)平城の都の秋を歌った『時雨彩色』
6)鏡女王と額田王 姉妹が歌う秋の恋歌
  『風音』岡本先生の解説付
  『風音』歌のみ版
7)最後にいつもの『サンバDEツバキ』

2017年12月15日勉強内容 万葉集に親しむ『2017年しめくくり』

今月は、最初に12月のカレンダーの花-さなかずら-の万葉歌の紹介です。「あしひきの 山さな葛 もみつまで 妹に逢わずや わが恋居らむ」ーさなかずらが、ゆっくりと黄葉(もみ)つまで あなたに逢えないなのだろうか こんなに恋したっているのにー(巻10‐2296作者未詳)。万葉時代は、秋の深まりとともに葉の色が変わっていく事を【黄葉つ(もみつ)】という動詞で表現していた。そこから万葉では名詞は黄葉(もみち)で、紅葉のイロハモミジ(カエデ、かへるで:蝦手)と表現されていた。
次に『いや重け吉事』です。「新しき(あらたしき) 年の初めの 初春の 今日降る雪の いや重け吉事」(因幡国庁731年元旦)の紹介です。雪=白い=吉兆を詠んだ万葉集の大伴家持・最後の歌(巻20‐4516)と因幡国庁跡と宇倍神社の紹介です。因みに宇倍神社の麒麟獅子はキリンビールのモチーフになっています(参考:この宇倍神社は、昔の紙幣に拝殿と武内宿禰命像が図柄になったので、商売繁盛・金運上昇の神として有名です)。
後は、年賀状用の歌と来年の干支 犬の歌 2首の説明があり、「かげろひ」に因んだ『阿騎野寒暁』の和歌説明です。旧暦の11月17日に奈良宇陀でかげろひを見る会が毎年開催されています。かげろひが見れるのは、夜明け前で-5°以下の放射冷却時に東の地平線近くの空が朱色にそまります。且つ振り向けば月がかたぶいて見れるという稀有の状況ですが歌われた和歌が以下です。
「東(ひんがし)の 野にかげろひの 立つみえて かえりしみれば 月かたぶきぬ」(柿本人麻呂 巻1‐48)この読み方は江戸時代の賀茂真淵が解釈したものです。軽皇子(後の文武天皇)が安騎野に狩りに行った時に柿本人麻呂が歌った長歌と短歌(巻1-45~49)で構成されています。今年は2018年は1月3日にかげろひの会があります。
参考:因幡 宇倍神社の情報です。http://www.ubejinja.or.jp/new-about/


2018年1月19日勉強内容 万葉集に親しむ-『新年を寿ぐ』

・今月のテーマは【新年を寿ぐ】です。寿ぐとは【言祝ぐ】で、言葉によって祝す、言葉の力・魂=言霊(ことだま)=によって良い事が実現することです。この言霊という言葉が、万葉集の柿本人麻呂歌集にでています。『言霊の幸ふ国へ』―磯城島の 大和の国は 言霊の助くる国ぞ ま幸くありこそーで日本の魂を歌った歌です。言葉のある物 全てに命があり、大切にしなければいけないと感じました。
・1月の歌は、「ほよ」です。ほよは宿木で、ほよを頭に飾ると長生きするよと謡った大伴家持の歌の紹介です。「あしひきの 山の木末の ほよ取りて かざしつらくは 千歳寿くこそ」

 

 

 


・小倉百人一首(藤原定家=鎌倉時代小倉山荘で選んだ)と万葉集の紹介です。
百人一首と万葉集では、同じ歌でも歌の表現が違うものがあり、歌い継がれていくなかで違うようになっていったようです。
山部赤人の歌
百人一首 田子の浦に うち出でて見れば 白妙の 富士の高嶺に 雪はふりつつ
万葉集  田子の浦ゆ   々     ま白にそ  々    雪は降りける
・今年の干支 犬の万葉歌の紹介(旋頭歌と長歌の2歌に犬が出ています)
・正月にふさわしい『鶴鳴き渡る』山部赤人(歌聖・抒景歌人)が聖武天皇行幸の時に読んだ歌で(若ノ浦に 潮満ち来れば 潟をなみ 葦辺をさして 鶴鳴き渡る)で和歌浦の情景が絵に書かれたように描かれている。因みに犬養先生は山部赤人ことを芸術院会員と評されておられます。
※管理人の一言:この山部赤人を聞いて、学生時代 和歌浦に葦辺寮という元旅館をそのままにした大きな学生寮がありました。友人たちが住んでいたので、良く遊びに行き、宴会(闇鍋)をし、その後、近くの片男波や秋葉山、東照宮に行った想い出が、走馬燈のように浮かびます。和歌の浦・片男波・葦辺という地名が言霊のように響きます。

☆少し勉強したこと
万葉集(萬葉集:マンヨウシュウ)は、古代では【マニエフシフ】と呼ばれていた。つい最近までは【マンニョウシュウ】とも呼ばれていた。万葉集の意味は、万代に末永く伝えられるべき歌集という。又、現代日本語の母音は5つだが、イ段の「キ、ミ、ヒ」、エ段の「ケ、メ、ヘ」、オ段の「コ、ソ、ト、ノ、モ、ヨ、ロ」にあたる各音が2種類に書き分けれれていたことが知られている。「8母音説」(岡本先生のお話から、興味がありネットで調べて少し補足しました)

2018年2月16日勉強内容 万葉集に親しむ『もうすぐ春』

今月のテーマは「もうすぐ春」です。まずは皆で「早春賦」を合唱しました。中田晃さんの作曲で、息子は中田喜直さんで、春の歌だけはお父さんに負けたとの事。万葉集は、『もうすぐ春』で志貴皇子と大伴坂上郎女の和歌の紹介です。志貴皇子の歌は、まさに春を感じさせる歌です。次の万葉集はバレンタインデーに因んで『恋歌』です。この恋歌に入っている五つの和歌は、里中満智子さんと岡本さんの対談の中で、里中さんが選んだものだそうです。1番目の和歌は、同時代では大伴坂上郎女とならび称される女性歌人の笠野女(かさのいらつめ)が大友家持に送った歌で、彼女の歌は29首もありますが、家持は一つも返歌しなかったとか!。次も恋の歌で、巻13の3280~3283の長歌と反歌で、万葉では、夢は(いめ)と読み、相手が思っているので私の夢に出てくるというポジティブな意味で使われたとの事です。☆少し勉強した事 ;左の方が右の方が格が上で 左京に住む方が上流階級です。

2018年3月16日勉強内容 万葉集に親しむ『家持と春の花』

最初に先月行かれた浜松市の万葉の森公園の紹介がありました。3月の花は「あかね」で、柿本人麻呂歌集の旋頭歌で、あかねさしという語句が枕詞で出てきています。あかねは、非常に鮮やかな色で万葉の時代の代表的な色です。『春つれづれ』の歌は「紫草の 根延う横野の 春野には 君を懸けつつ 鶯鳴くも」の犬養孝揮毫万葉歌碑が、生野区巽にあり除幕式に犬養先生と岡本さん2人で行った時に作られた想い出ある歌という。2018年3月31日に、その万葉歌碑に行きましたので、下記にデータとしてアップしました。画像をクリックするとダウンロードできます。
万葉集の時代区分を学びました。明日香時代:第1期初期(645~672壬申の乱)第2期白鳳(~702持統崩御)、奈良時代:第3期平城(~729)第4期天平(~759)の歌風・歌びとを学びました。尚、第1期の歌は伝承時代の古代歌謡も含まれています。第1期の額田王は江戸時代までは男性と言われていました。
『家持爛漫』は、越中秀吟12首の内2首が含まれています。この越中秀吟12首で、桃・李・柳・かたかご・鴫・雁・千鳥・雉・射水川が繊細に歌われています。特に堅香子は、気まぐれな花で若い女性に例えられています(曇りは咲かず、日光が良くあたる日中にシャキッと咲きます)。最後は椿の歌の紹介で春の花の講義終了。今日の講義の花を集めました;椿の裏根絞り?は、富田さんが当日の講義に提供していただいた花です。(初春の花;梅も追加しました) ☆家持の歌473首と万葉集の一割を占めています。